御曹司は偽婚約者を独占したい
「な……急にっ、何、生意気なこと言ってんだ!! 美咲ちゃんは……お前はっ、俺に黙って従えばいいんだよっ!!」
「や……っ、痛……っ」
けれど私の言葉と態度は、クロスケさんの神経を逆撫でしたにすぎなかったようだ。
折れるんじゃないかと思うほど腕を強く掴まれて、再び痛みで顔が歪んだ。
「や、やだっ。痛い……っ、離して……っ」
「ああ……っ、ゴチャゴチャ面倒くせぇなぁっ! もういい加減にしないと、この店が最悪な店だってネットに書き込んでやる!」
大声を張り上げられて、また萎縮してしまう。
「……覚悟するのは、お前のほうだろう」
「え……っ」
「こんなことをして、ただで済むと思っているのか?」
だけど、いつの間にか私の背後に立っていた彼が、私の腕を掴むクロスケさんの腕を力強く捻り上げた。
「い……っ、痛で……っ‼」
「暴行罪で訴えることもできる。今の一部始終は、すぐそこの防犯カメラにも記録されているだろうし、お前にもう逃げ道はない」
「え……っ!?」
言われてふと見上げた先には、街頭防犯カメラが備え付けられていた。
気付かなかった、というより、意識して生活している人はいないだろう。