御曹司は偽婚約者を独占したい
「……俺の言ったことは、間違っていなかったな」
けれど感傷に浸る間もなく渡されたのは、叱責だった。
慌てて顔を上げて彼を見れば、何を考えているのかわからない、ポーカーフェイスと目が合う。
「俺が戻って来なかったら、どうするつもりだったんだ」
諭すような口調で言われて、思わず肩が強張った。
『楽観的に考えているのは危険だ』と、彼の言ったとおりになったのだ。
言われても仕方がない。 恥ずかしさと情けなさで、わかっていても泣きたくなる。
「あ、あなたの仰るとおり……楽観的に考えていました……。本当に、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした……っ」
涙を堪えてそう言葉にするので精一杯だった。
もう、なんだか心の中はグチャグチャだ。
怖かった。でも彼に助けてもらえて本当に良かった。
安堵感と羞恥心、自責の念にも駆られて、巻き込んでしまった彼には申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「……そうじゃない」
「……え?」
「俺が言いたいのはそうじゃなくて、〝自分で思っている以上に、君は魅力的だ〟ってことだ」
けれど次の瞬間、思いも寄らないことを告げられて、私は俯いた顔を上げた。