幼なじみの優しい彼 2
海はいつも私を助けてくれる。いつも甘えてばかりじゃいけないなって思ってはいるけど、ついつい彼の優しさに頼ってしまう。

だけどだけど、今日は話が別だよ。

「こんな荷物私1人で、平気だよ。この階段を下りたら化学室まですぐだし。もう手伝ってくれなくてもいいから」

思わず感じの悪い断り方をしてしまった。

喧嘩すると、こんな風に意固地になってしまっていつも、すぐに謝れない私。

「ヒカリ今朝のことまだ怒ってる?
、でも、お願い。これだけは俺に運ばせてくれないか。こんな重いの持ってヒカリが階段から転んだりしたら俺が嫌だから」

「え?」

「お願いします」

彼が困ったように私を見て、機嫌を取るようにちょっと笑う。

一瞬、爽やかな風が心の中に吹いたような気がする。

ここまで言われて、断れるほど私も性格がひんまがってはいない。

2、3秒間、彼のその綺麗な笑顔に見惚れてからゆっくりとうなずいて段ボールを手渡した。
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