幼なじみの優しい彼 2
体がスッと軽くなったのは段ボールが手から離れたっていう理由だけじゃない。

「ありがとう、ヒカリ」


「ううん、私のほうこそありがとう。海」


ちょっとだけ、心がふんわりとやわらいだ気がした。

そうだ。

さっきのことを、ごめんね、やりすぎたよって、謝ろうかな。謝りたいな。

いくらなんでも、みんなの前で彼を奪い合って、あんな修羅場を演じてしまったんだし。

海も恥ずかしかっただろうな。

やっぱり私が悪いよね。

化学室につくまでにずっとそんなことを考えていた。

けれど、結局何にも言えないまま化学室についてしまった。

私が扉を開けると、海はさっきの段ボールを真ん中の机に慎重に降ろした。

「これ、グループごとの机に並べればいいんだよね?」

「うん」

私も急いで、ビーカーを手に取ろうとした。

「ヒカリ、危ないから俺がやっておくよ」

「え、そんなの悪いよ」
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