幼なじみの優しい彼 2
私の意地っ張りな性格を知っている彼は、いつも自分の方から折れてくれるんだ。

申し訳なさそうに彼を見上げると、握っていた手を引かれ、あっという間にその腕の中に閉じ込められた。

「海」

「ヒカリ」

いつもごめんね。海。こんな意地っ張りな彼女で。

だけど、今日は、これだけは私の方からちゃんと言うよ。

「大好きだよ、海」

「ん、ヒカリ、俺も」

チョンって触れるだけの、可愛いキスをして微笑みあった。

「もう、別れるとか言うなよ。ああいうのホントに傷つくんだからな」

思い出したように言って、彼はすねたような顔をする。

「うん、あんなの本心じゃないよ。でも、さっきはごめんね」

「うん。じゃあお詫びにアレして」

「え、また?」

私はちょっと顔を赤らめてキョロキョロあたりを見回す。

化学室にはまだ誰も来ていないことを確かめてから、彼に向き直る。
< 13 / 45 >

この作品をシェア

pagetop