幼なじみの優しい彼 2
彼は何か言おうと口を開きかけて、やめたようだった。そしてあきらめたように返事をした。

「そっか、わかった」

海はちょっと寂しそうに視線を落とすので、私も一瞬で悲しくなる。

本当は私だって一緒に帰りたいんだけど、ここ数日間はちょっとした理由があって、いつも断っていた。

海に隠し事なんてするのが生まれて初めてなので、心臓はバクバクだったけれど。

あと少しの辛抱だから、あと3日したら、本当のこと全部話すから、ごめんね、海。

「ヒカリ」

座っている海に腕を引っ張られて、また抱き寄せられた。

彼の膝の上に座らせられるような、変な体勢で抱き合うけど、この時、海がどんなにせつなげな表情をしていたかってことに、私は気がつかなかったんだ。

だって、この時、胸がドキドキして、彼の顔がまともに見れなかったから。
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