幼なじみの優しい彼 2
「ヒカリ、今日の数学の宿題やってきたか?」
「ううんー、昨日家に帰ったのが遅くて疲れてそのまま寝ちゃったんだ。どうしよ、先生に怒られる」
翌朝、私と海はいつものように、仲良く手を繋いで、登校していた。
「だったら、俺の答えを写していいよ。なんだったら写すのも手伝うよ」
「エッ、いいの?ありがとう、海」
にっこり笑って、つないだ手をぎゅっと強く握ると、彼が照れ臭そうにする。
今日も海はカッコよくて、すこぶる優しい。
「おはよー、おっ今日も朝からいちゃついてるな」
自転車に乗った太一君は正門前あたりで私達を追い越していった。
「太一、おはよう」いつものように爽やかに挨拶する海。
「太一君、おはよ」
太一君の背中を見送りながら、あることを思い出して自転車置き場へ行こうと思った。
「ごめん、海、先に教室に行ってて」
海の手を離して走り出した。
「ヒカリ?」
後ろで、彼が呼ぶ声がしたけど、ごめんって手で、合図して先に正門を入っていった。