幼なじみの優しい彼 2
「太一君」
自転車置き場に着くと太一君がいたので、駆け寄った。
彼はぎょっとしたように目を見開く。
「太一君、昨日はごめんね、私のせいで迷惑かけちゃって」
太一君に謝ったけど、彼はさっと顔色を変えて、何か言いたげに口をパクパクしている。
その視線は、私の後ろのほうを凝視している。
「え?」
太一君が指さすほうを振り返ってみると、そこにはなんとさっき正門で別れたはずの海の姿があった。
彼は複雑な顔をして、拳をぐっと握りしめている。
「海、どっ、どうして?」
うそ、海ったら私のことを追いかけてきてたの?ちっとも気が付かなかったよ。
「太一、今のなんだよ。昨日はごめんってなんのことだよ?」
海は、怒りを抑えているような様子で、太一君に詰め寄った。
「海、違うの、なんでもないよ」
「ヒカリはいいから、黙って」
ピシャリと言われて、完全に迫力負けしてしまう。