幼なじみの優しい彼 2
普段聞いたこともないような海の低い声にビクッとした。

「俺は太一に聞いてるんだよ。太一、おまえ俺に何かやましいことはないか?」

「え、と、違う。やましいことなんてあるわけないだろっ」

太一君もうろたえながらもなんとか答える。

それもそのはずで、普段の海の穏やかなイメージからは、想像できないくらいに今の彼は顔を強張らせて殺気立っているからだ。

「本当だな?」

その場の空気すらピリッと凍りついたかのように見えた。

「お、おう。当たり前だろ」

太一君は、海を真っ直ぐに見つめ返す。

「・・・・そうか」

海は俯き口元に手をあて、黙りこんでしまう。

深刻な顔で眉根を寄せているその表情を見ると急に悲しくなった。

そんなつらそうな顔しないでよ、海。
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