幼なじみの優しい彼 2
「ダメだよ、サプライズなんだから。あともう少ししたら海にも私から話すから」

私は慌てて、太一くんに口止めする。

「来週だっけ?海の誕生日」

「うん、楽しみだなー」

その時のことを思い浮かべるだけで、顔がニマニマしてしまう。

「どうしよ、俺、海に嫌われたりしないかな?ヒカリからうまいこと言えよ」

「大丈夫だよ。太一くんは協力してくれただけだもん」

「うーんでも、海のやつ、変な誤解してそうで心配なんだよなぁ」

太一くんは不安そうな声で言うけど、なにをそんなに気にしているんだろう。

私は太一くんの自転車の後ろに乗りながら、夜空を見上げた。

「あ、あれあれ今日は晴れてるしすごく月が綺麗だよね。こんな日は海が喜ぶだろうな」

5月の夜空には星座が輝き、月の光も吸いこまれそうなほど澄んでいる。

「ほんとだな、あいつ天体観測だっけ?趣味なんだよな。海らしいな」
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