幼なじみの優しい彼 2
そう言って、彼は自転車にまたがったまま器用にピン留をはずしてくれた。

「とれた」

「ごめん、ありがとう太一くん」

「わっ」

「危ないっ」

彼はバランスを崩して一瞬私の方へ自転車ごとたおれそうになり、なんとか支えてあげた。

「わりー、わりー」

にっかり笑って、じゃあなと言い太一くんは自転車を漕ぎはじめる。

太一くんの背中にバイバイって声をかけた。

と、その時、私の向かいの家からガタガタガタという凄い音がして、そちらを振り返ると玄関のドアが勢いよく開いた。

そこから、走って出てきた人影にビクッとする。

「か、海っ」

「ヒカリッ、あいつは?」

ハアハアと息を弾ませている海は、慌てて飛びだしてきたのか、靴も履いていない。

お風呂上がりなのか髪が少し濡れていて、テイシャツに半パン姿だ。

そして、彼が右手に持っていたものに驚愕する。

「海、何それっ、どうして?どうしたの?」
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