幼なじみの優しい彼 2
「これ?竹刀だけど」

こともなげに彼は答えてあたりを見まわしてキョロキョロしている。

彼は、小さいころから剣道をやっていて今でも高校の部活こそしていないけど、時々、道場には通っている。

だからこの竹刀は彼のものであって持っていてもおかしくはないんだけど、だけどだけど。

「あいつは?帰ったの?」

「う、うん、で、それで何する気だったの?」

私は竹刀を指差して恐る恐る尋ねる。

彼はそれには答えなくて、かすかに笑ったような気がした。

暗くてよくはわからないけれど、月明かりに照らされている海の顔は、凛々しくいつも以上にカッコいい気がした。

いやいや、こんな時に自分の彼氏に見とれてる場合じゃあない。

「あ、あのう」

「さっきのはどういうこと?ヒカリ」

「え、見てたの?」

「2階の俺の部屋からちょうど2人が自転車で帰ってくるところが見えたんだ」
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