幼なじみの優しい彼 2
感情を抑えるような静かな口調がかえって恐ろしかった。

「ごめん、えっと」

頭が真っ白で、うまい言い訳なんて浮かばないし、なにより海に下手な嘘なんてつきたくない。

「これには理由があってね、まだそれは言えないんだけど、えとえと・・・キャッ」

私は腕を引かれ、あっというまに彼の家の玄関先まで連れていかれる。

玄関の壁に背中を押しつけるようにされてかがんだ彼に覗きこまれた。

海は片手で私の肩に触れ、もう片方の手は、壁に付けられていた。さっきの竹刀は床に転がっている。

いわゆる壁ドンされているみたいなんだけど、ときめいていられる呑気な状況ではない。

海の家のリビングからはテレビの音と彼の家族の話声が聞こえた。

こんなところを、彼の両親に見つかったらと思うとゾッとする。

「答えて、ヒカリ、もうごまかさないで。本当のことが知りたいんだ、どんなことだってちゃんと受け止めて乗り越えるから」
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