幼なじみの優しい彼 2
その真剣な表情を見て、体中に緊張が走った。

は?乗り越えるって何を言ってるの?

「ヒカリが好きなんだ、10年間ずっと。やっと付き合えるようになってどんなに嬉しかったか。だけど、俺一人で浮かれててヒカリの気持ちに気が付かなったなんて、悔しいよ。こんなの」

彼は悲しそうに眉根を寄せていて、潤んだ瞳は赤い。

「あの、海、私」

彼のそんな顔を見たらたまらなく悲しくなってきて鼻の奥がツーンとしてくる。

どうしてこんなにも彼が辛そうにするのか、わからなかった。

「太一のことが好きなんだろ?付き合ってるの?」

え?え?今なんて言ったの海。

なんで?どうしてそうなるの?

「さっきキスしてただろ?2階の俺の部屋から見えたよ」

「え?えっー!?な、なにそれ」

私は素っ頓狂な声を出して海を見返すと彼は視線をそらす。

私ってさっき太一君とキスなんてしてたっけ?いやいや絶対にそんなことしてないよ。
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