幼なじみの優しい彼 2
もしかして、ピン留めをはずすために近づいていた時にそう見えたんだろうか?

うそっ。そんなの誤解だよ

「違う、キスなんてしてないよ。それに私の好きなのは」

「いいんだ、ヒカリ。たとえヒカリの気持ちが誰にあっても、俺の気持ちは変わらない」

「ちょっ、ちょっと海ったら違うってば」

「ここ最近ずっと太一の自転車の後ろに乗って帰ってただろ?見た人がいて少し前から知ってた」

「・・・」

「毎日こんなに遅くなるまで、2人でデートしてたの?」

彼は、苦し気にギュッと目を瞑る。

太一君の自転車で裏門から帰っていたのが、海にはバレてたんだ。

そうだとしたら海、ずっと、私に言い出せなくて悩んでいたのかな。

私と太一君が浮気してるんじゃないかって、ひそかに疑っていたのだろうか。

何も言えないで呆然としていると彼の片方の腕に頭を抱え込まれるように抱き寄せられた。
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