幼なじみの優しい彼 2
「ヒカリ、どうしてもヒカリのこと諦められないんだ。だから、太一とは別れてくれたら何も無かったことにするから。俺のところに戻ってきて」

耳元で囁くように熱く言われて、胸がきゅうんとした。

こんな時にでも大好きな彼にときめいてしまうのに、浮気してるって誤解されてたなんて。

びっくりしていてまだ頭が付いていかなかった。

「海」

ぎゅうっと強く強く抱きしめられて、眩暈がしそうだ。

こんなに力強く抱きしめられたのは初めてだった。

痛い、痛いよぅ、海。

だけど彼はかすかに震えていて、そのせつない思いがじんわりと伝わってきた。

「ごめん、ごめんね。海、黙ってて、私。全部話すから」

ようやく彼が、少し力を緩めてくれて、また私の顔を覗き込まれた。

本当は彼の誕生日の当日までは内緒にしておいてサプライズでお祝いしようと思ってワクワクしていたんだけど、もうそんなことはどうだっていい。
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