僧侶とホストと若頭、3つの顔に揺れる恋
「親父が襲撃に遭ったのか?」

「心配いりやせん。片付いたとの知らせです」

「そうかい。怪我人はでなかったのか」

「はい。内には何も」

「金守、安堵が顔に出てるぜ」

金守は緩んだ顔を慌てて、元に戻した。

夕方。

晩の勤めを終え、あたしは昼間の金守への電話が気になり、組に戻った。

屋敷内に入ると、やけに賑やかだった。

「何でえ、この騒ぎ様は」

「どうしたこうしたもねえですよ。悠斗さんが昼間、大活躍だったんでさ」

「悠斗が……もしかして、悠斗は親父の護衛に加わってたのか」

「もしかではなく、悠斗さんは4日間ずっと総長にピッタリ着いてたんで」

あたしの胸の鼓動が速まる。

「で、詳しく話せ」

「松尾組が週明けに、脅し文を送ってきてましてね」

「松尾組は内の傘下じゃねえか?」

話しているのは梁瀬隊長だ。

「松尾とはちょっと前からシマのことで揉めてまして」
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