僧侶とホストと若頭、3つの顔に揺れる恋
「前からあいつは気に入らなかったが、やりやがったか」

「総長には週明けから速攻、護衛が着いたんでさ。あっしと沖永理事、小城隊長、剣先専務、そして悠斗さんが。悠斗さんを着けるのには沖永理事も剣先専務も反対しなすったそうで。でも、総長が譲られなかったんでさ」

やはりな、あたしは自分の勘が当たっていたことに納得した。

赤レンガ倉庫の商談を済ませた直後、松尾組が襲ってきたと言う。

数は50人強。

松尾組の特攻部隊と言われる、いずれも腕力だけでなく武道にも長けた精鋭揃いだったらしい。

その襲撃の突破口になったのが悠斗。

悠斗は潜んだ松尾組の気配を察し、親父の前にサッと身構えたと言う。

それを合図に沖永理事が即座に、親父を車に乗せ、その場を離れた。

悠斗は車を追って、発砲しようとした男の動きを素早く察知し、拳銃で手元を狙い、拳銃を弾き飛ばした。
< 26 / 80 >

この作品をシェア

pagetop