僧侶とホストと若頭、3つの顔に揺れる恋
悠斗が……。

話を聞けば聞くほど、あたしは信じられなかった。

初陣でそんな立ち回りができたのか? だとしたら、悠斗は場馴れしている。

悠斗が射撃だけでなく、剣道や空手を習っていたのは知っている。

あたしは試合での、悠斗の活躍ぶりを知らないわけではない。

何度も悠斗の試合は観に行った。

けれど、試合だ。

実践の喧嘩、ましてや組の抗争は試合など桁違いに激しい。

それを総長直々に人選した精鋭3人を、堅気の悠斗が仕切り、無傷で終えたと言う。

信じろという方が無理な話だ。

「梁瀬、話を盛っていやしないか?」

あたしは聞き返したが、梁瀬は滅相もないと言い張った。

「梁瀬、総長がお呼びだ」

総長の部屋の方から歩いてきた沖永理事が、眉間に皺を寄せ、梁瀬の腕を掴んだ。

「勝ちに酔っている場合か」
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