僧侶とホストと若頭、3つの顔に揺れる恋
梁瀬は沖永理事に引きずられていった。

総長の部屋は防音が効いてる。

中の声は外に、一切漏れない。

それでもあたしは襖に張りついて、聞き耳を立てたかった。

総長の部屋に行こうと、腰を上げた途端「お嬢、ムダです」と香川が釘を刺す。

あたしは「わかってらー」と開き直った。

「悠斗も中に居るのか?」

「はい」

「沖永理事と小城、剣先、梁瀬、あと誰が中に居るんだ?」

「芹沢副総長と蜷川常務がいらっしゃるようです」

錚々(そうそう)たる顔ぶれだな」

「悠斗さんの吟味してんでしょ」

あたしは益々、中の様子が知りたくなった。

「何で盗聴器仕掛けてねぇんだよ」

「お嬢、そんなことしたら半殺しにされっちまいます」

「お前ら。さっきの梁瀬の話聞いて、よく落ち着いていられるな」

「あっしらだって気になってんです。我慢してんです。お嬢も我慢して神社に戻ってくださいよ」
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