僧侶とホストと若頭、3つの顔に揺れる恋
もう1度言っておくが、大岡の杖はただの杖ではない。

仕込み杖だ。

全長は1メートル、刀身61センチくらいあるだろう。

大岡の得意技は紫電一閃逆手斬り。

大岡の気配が変わった。

ヤバい。

あたしが思わず1歩、身を引いた時だった。

「大岡顧問。お出迎えが遅れまして申し訳ありません。総長が奥でお待ちです」

涼やかな声が後方から、凛と響いた。

「誰じゃあ、貴様は」

颯爽と大岡の前に進み出たのは、悠斗だ。

悠斗は大岡の殺気だった気配に全く怯んだ様子もなく、それどころか顔色1つ変えずに、大岡の右手を止めた。

「こちらへ」

サッと身を翻し、大岡を案内する。

「ぬしが悠斗か」

驚きを隠せないのか、その声には先ほどまでの威圧感はなかった。

「さようにございます」

「あと3秒、遅かったら剣を振っておったわい」
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