モノクロに咲く花~MadColors~
一花の兄の誠一はとても優秀で、如月家自慢の長男だったが、去年亡くなった。誠一がいなくなってか
ら、一花に対する厳しさは日に日に増すばかりだった。
父親自身も幼少期から英才教育を受け、今は警察庁刑事局長。その厳しさは警察内でも噂になるほどだ
と生前誠一は一花に教えていた。誠一は父をなんとかしたいのだと一花は感じており、だから”あんなこと”をしてもショックではあったが心あたりはあった。
家はそれなりに裕福だと感じていたが、学校でも家でも窮屈なのは変わりなく、幸せだと感じることは、今の一花には無かった。
一花は暖かな母親の胸を思い出していた。柔らかな笑顔は微かにしか思い出せない。遠い記憶だ。
―――一花の母は彼女が小学校に上がる前に亡くなっていた。
部屋に戻ると腹の底から悲しみがじわじわとせりあがって、逃げ場のない自身に襲い掛かる。
(お母さんもお兄ちゃんもどうして死んじゃったの……?ふたりがいたころはまだ私笑えてた、居場所があった。今は何も楽しくないよ……)
ら、一花に対する厳しさは日に日に増すばかりだった。
父親自身も幼少期から英才教育を受け、今は警察庁刑事局長。その厳しさは警察内でも噂になるほどだ
と生前誠一は一花に教えていた。誠一は父をなんとかしたいのだと一花は感じており、だから”あんなこと”をしてもショックではあったが心あたりはあった。
家はそれなりに裕福だと感じていたが、学校でも家でも窮屈なのは変わりなく、幸せだと感じることは、今の一花には無かった。
一花は暖かな母親の胸を思い出していた。柔らかな笑顔は微かにしか思い出せない。遠い記憶だ。
―――一花の母は彼女が小学校に上がる前に亡くなっていた。
部屋に戻ると腹の底から悲しみがじわじわとせりあがって、逃げ場のない自身に襲い掛かる。
(お母さんもお兄ちゃんもどうして死んじゃったの……?ふたりがいたころはまだ私笑えてた、居場所があった。今は何も楽しくないよ……)