モノクロに咲く花~MadColors~
翌日、一花は行き慣れていない一組前の廊下を歩いていた。宙のクラスは、女子が騒いでいたため、かなり前から知ってはいた。他クラスの中に入っていく勇気はなく、入り口近くにいる女子生徒に声を掛ける。
「あの!」
「えっ、私?……何?」
話し掛けられた女子生徒は思ってもみない一花からの声掛けに驚く。
「えっと、壱川君いますか?」
「え、宙様に何の用なの?!」
「あ……ちょっと貸してもらったものを返しに……」
「そ、そうなの……一応あそこにいるけど…」
一花が女子生徒が指した教室の一角に視線を送ると、そこには椅子に座って談笑する宙の姿があった。
眼鏡をかけた物静かそうな男子生徒が机の近くに立っている。
「あの、呼んでもらっても……?」
「あのねぇ、見て分かるでしょ。壱川君だけオーラ違うの。同じクラスの子でも個人的に話しかけるのはとっても勇気いるくらいの王子様みたいな人なの」
「そ、そうだよね」
一花は改めて宙をじっと見つめ、その繊細な美しさに魅入ってしまう。
(本当だ。別世界の人みたい……。
壱川君って、身なりは綺麗だし、さすが御曹司なだけあって仕草も優雅で、まるで毛先まで念入りに整えられた動くビスクドールのよう……)
お礼を言いたいのに、これでは話し掛けられそうもないと落ち込んでいると、その様子に眼鏡の男子生徒が気づく。
「……おい、あの子。お前に用があるんじゃないか。俺はクラスに戻る」
宙はその言葉を聞いて、クラスの入口にいる一花を見つけた。宙と目が合った一花の鼓動は早くなる。
そして、宙が席を立って、一花の方へと歩み寄ってきた。
(嘘、こっちに来た……!)
「如月さん?」
一花は突然呼ばれた名前を不思議に思ったが、それよりも目の前にいる宙に圧倒されて言葉を失う。
「あ、えっと……」
「俺に何か用かな?」
「こ、これ……」
一花は宙のハンカチを両手で差し出す。そのハンカチは汚れが消え、綺麗に折りたたまれていた。
「わざわざ洗濯してくれたの?」
驚いた顔をした宙に、一花は首を小さく細かく何度も縦に振る。その様子に微笑んで、宙は優しくお礼を言った。
「ありがとう」
あまりにキラキラした笑顔に、一花は動悸が激しくなる。
「いっ、いえ、昨日はすみませんでした」
「気にしないで、皆手伝ってくれたし」
「は、はい……」
(緊張しすぎて壱川君の顔、まっすぐ見れないよ……!)
こんな時間が続けばいいと一花は願ったが、その願いもむなしく、予鈴が鳴る。
「あ、もう行った方がいいね」
「あ、はい……本当にありがとうございました」
挙動がおかしい一花を見て宙はくすりと笑う。その笑いに疑問を持ちつつも、一花はぺこりと頭を下げ自分のクラスに速足で向かった。
「あの!」
「えっ、私?……何?」
話し掛けられた女子生徒は思ってもみない一花からの声掛けに驚く。
「えっと、壱川君いますか?」
「え、宙様に何の用なの?!」
「あ……ちょっと貸してもらったものを返しに……」
「そ、そうなの……一応あそこにいるけど…」
一花が女子生徒が指した教室の一角に視線を送ると、そこには椅子に座って談笑する宙の姿があった。
眼鏡をかけた物静かそうな男子生徒が机の近くに立っている。
「あの、呼んでもらっても……?」
「あのねぇ、見て分かるでしょ。壱川君だけオーラ違うの。同じクラスの子でも個人的に話しかけるのはとっても勇気いるくらいの王子様みたいな人なの」
「そ、そうだよね」
一花は改めて宙をじっと見つめ、その繊細な美しさに魅入ってしまう。
(本当だ。別世界の人みたい……。
壱川君って、身なりは綺麗だし、さすが御曹司なだけあって仕草も優雅で、まるで毛先まで念入りに整えられた動くビスクドールのよう……)
お礼を言いたいのに、これでは話し掛けられそうもないと落ち込んでいると、その様子に眼鏡の男子生徒が気づく。
「……おい、あの子。お前に用があるんじゃないか。俺はクラスに戻る」
宙はその言葉を聞いて、クラスの入口にいる一花を見つけた。宙と目が合った一花の鼓動は早くなる。
そして、宙が席を立って、一花の方へと歩み寄ってきた。
(嘘、こっちに来た……!)
「如月さん?」
一花は突然呼ばれた名前を不思議に思ったが、それよりも目の前にいる宙に圧倒されて言葉を失う。
「あ、えっと……」
「俺に何か用かな?」
「こ、これ……」
一花は宙のハンカチを両手で差し出す。そのハンカチは汚れが消え、綺麗に折りたたまれていた。
「わざわざ洗濯してくれたの?」
驚いた顔をした宙に、一花は首を小さく細かく何度も縦に振る。その様子に微笑んで、宙は優しくお礼を言った。
「ありがとう」
あまりにキラキラした笑顔に、一花は動悸が激しくなる。
「いっ、いえ、昨日はすみませんでした」
「気にしないで、皆手伝ってくれたし」
「は、はい……」
(緊張しすぎて壱川君の顔、まっすぐ見れないよ……!)
こんな時間が続けばいいと一花は願ったが、その願いもむなしく、予鈴が鳴る。
「あ、もう行った方がいいね」
「あ、はい……本当にありがとうございました」
挙動がおかしい一花を見て宙はくすりと笑う。その笑いに疑問を持ちつつも、一花はぺこりと頭を下げ自分のクラスに速足で向かった。