魔法の鍵と隻眼の姫
男二人だと俄然旅の進み具合が早い。
1日かかった次の村まで半日で着いたラミンは青々と茂る畑の間を進んでいた。

「ここは確か…」

ラミンが懐かしむように辺りを見回し1軒の小さな家の前を通りかかった。
すると家から飛び出して来た一人の男の子。

「わっ!お馬さん!…あれ?白い髪のおじさんだ!」

「お、おじっ……ぷっ」

ぷぷっと笑うトニアスを余所にウォルナーから降りたラミンはその男の子の前に立った。

「よう、坊主。俺を覚えているか?」

薄く笑みを作る口元にブルーグリーンの瞳のやけに整った顔、そして白銀の髪は珍しくて良く覚えてる。

「うん!髪の長いお姉ちゃんと一緒にいた!僕のペンダント探してくれたでしょ!」

得意気に首に掛けていたグリーンの石のペンダントを見せる男の子に、しゃがみ込み同じ目線になるとグリグリと頭を撫でてやる。

「そうだ!良く覚えてたな坊主。少し大きくなったか?」

えへへと笑う男の子とラミンが仲良さげで不思議に思ったトニアスも馬から降りると家の中から声がした。

「ライオネル、どうかしたかい?」

中から出てきたのはおばあさんのトレニーでラミンを見るなり目を見開く。

「あらあらまあまあ!あんたは去年ここに来た…!そうかいそうかい!また来てくれたんだねえ」

「ばあさん、元気そうだな。その節は世話になった」

懐かしそうに言いながらライオネルの肩を持ち立ち上がったラミンを見上げる。

「世話になったのはこっちの方さね。ささ、何もないがお茶でも飲んでっておくれ」

いそいそと家へと促すトレニーに続きライオネルがラミンの手を引く。
家の中へ入って行くラミンに慌ててトニアスがついて行った。

「ラミン、この方たちは?」

「ああ、旅の途中で一晩泊まらせてもらった。トレニーばあさんと孫のライオネルだ」

手を引くライオネルと目が合い二カッと笑うラミン。
ミレイアもお世話になったのかと兄としてありがたく思う。

「おじさん、お姉ちゃんは?おばさんもいないね?」

「あ?ああ、今はいないな。代わりにこのトニアスおじさんがいる」

「おっおじさん!?僕はまだおじさんじゃないぞ!」

「くくっ、この坊主からしたらお前もれっきとしたおじさんだぞ?」

ラミンの酷い言い様にむすっとしたトニアスにラミンもライオネルも笑い出す。
さっきおじさんと呼ばれたラミンを笑った腹いせだと直ぐにわかった。

「心が狭いぞ…」

「ん?なんか言ったか?」

ぶるぶると首が取れそうに横に振るトニアス。



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