魔法の鍵と隻眼の姫
絶対おちょくられてた気がする…。
さっきは国王の焦らしに発狂しそうなのを何とか抑え堪えていた。
国王は絶対楽しんでたに違いない。
渋い顔をしながら逸る気持ちを抑えきれずに早足になるラミン。
早く…早く…
遠く感じる後宮はもうすぐそこで、さらに足を速めたラミンは通りすがりの誰かに声を掛けられた。
「あ、あれ?ラミン!?」
「よう、セイラス!後でな!」
立ち止まらずにぴゅーっと行ってしまったラミンをぽかんと見ていたセイラス。
「いつの間に、帰ってきたんだ…?」
首を傾げながらもラミンが向かった先を見て目を細め微笑んだ。
やっと、何かが起こる気がする…。
「はあ、はあ、着いた…」
階段を駆け上がるのもまどろっこしくて得意の跳躍で飛び上りほぼ走っていたラミンはミレイアの部屋の前で息を整えていた。
この先にミレイアがいる。
それを思うだけで何故だか胸が高鳴りなかなかドアを開けられずにいた。
暫くして意を決してドアに手を掛けようとするとカチャッとひとりでに開いた。
「あら、ラミン!いつ戻ったの?」
出てきたのは王妃様でいるはずの無いラミンに目を丸くする。
「!…王妃殿下、ただいま戻りました」
胸に手を当て軽く一礼すると満面の笑みを湛え王妃はドアを大きく開けた。
「まあ、すぐにミレイアに会いに来てくれたのね?嬉しいわ。さあ、入って」
促され中に入ると天蓋付きの立派なベッドが目に入る。
「今朝ね、ミレイアの瞼が少し動いたの。きっと目覚めるのはもうすぐよ」
背中越しにそう聞こえ振り向いたときにはラミンを一人残しもうドアは閉められていた。
眠り続けるミレイアを見るのは少し怖い…。
脚が竦み棒立ちのままだったがすぐに会いたい気持ちの方が勝って足を動かした。
ベッドの横に立つと眠るミレイアが横たわっている
綺麗な艶めく黒い髪、長いまつげ、ほっそりとした顎のライン、さくらんぼのような唇…。
相変わらずの美しさにラミンはごくりと喉を鳴らす。
傍らにあった椅子を引き寄せ座るとラミンはミレイアを見つめ冷たい手をそっと触った。