魔法の鍵と隻眼の姫
「おい、もう一度お前と行った場所を旅してきた。土産話がたくさんあるんだ、聞いてくれ…」
手を温めるように握りそう言うと、先ほど国王に報告した内容とは違い、二人が出会った人々の事を面白おかしく眠るミレイアに話して聞かせた。
・・・・
あの髭面は自分の子供にデレデレだったんだ。
シャルーってやつも元気にしてた。お前に会いたがってたが絶対会わせてやんねえ。
あの酔っぱらいのジジイは大工だったらしい。今は張り切って仕事してるそうだが屋根から落ちないか心配だ。
トレニーばあさんも今はすっかり腰が癒えて、ライオネルはでっかくなってたぞ。
ハウライトは泉も元通りになってた。
あのジジイが力を貸してやったらしい。もっと魔法でジャンジャン人助けしろってな?
でかい魔物が現れて、退治してやったんだ。
ああだったこうだった…と、話は尽きない。
・・・・
「お前が一番気にしてたハウライトの奴らも今はメリダヌスと協力して復興に力を注いでいる。遺恨は残っていても共生を選んだんだ、みんな平和を目指している。…なあ、目を開けろよ。起きてまたあのメリダヌスの丘で朝日を見よう…」
ピクリともしないミレイアに手を伸ばし頭を撫でてやり頬を触ると温かさが手に伝わる。
ミレイアは生きている。
死なせやしない。
ベッドに腰掛けミレイアをじっと見つめた。
今まで心の奥底に仕舞ってた想いはもう、隠し切れないほど大きくなっている。
「ミレイア…愛している…目を覚ませ…」
初めて言葉に乗せた想い。
肘を付き、願いを込めてさくらんぼのような唇に自分の唇を押しつけた。
想いが溢れ、自分の命が全部ミレイアに注げばいいと願った。
ゆっくりと目を開きミレイアをじっと見るも、やはりピクリとも動かない。
「……」
がっくりと肩を落とし、椅子に座ったラミンはミレイアの手を両手で握り自分の額に押し当てため息をはいた。
すると、その手がピクリと動いた気がする。
ハッとして顔を上げたラミンは握るミレイアの手に力を込める。
僅かに握り返されたような感覚。
ガバッと立ち上がりミレイアの顔を覗き込んだ。
ふるふると瞼が震え、ゆっくりと、じれったくなるくらいゆっくりと、その瞳が開こうとしていた。
「小娘!早くっ目を開け!」
手を温めるように握りそう言うと、先ほど国王に報告した内容とは違い、二人が出会った人々の事を面白おかしく眠るミレイアに話して聞かせた。
・・・・
あの髭面は自分の子供にデレデレだったんだ。
シャルーってやつも元気にしてた。お前に会いたがってたが絶対会わせてやんねえ。
あの酔っぱらいのジジイは大工だったらしい。今は張り切って仕事してるそうだが屋根から落ちないか心配だ。
トレニーばあさんも今はすっかり腰が癒えて、ライオネルはでっかくなってたぞ。
ハウライトは泉も元通りになってた。
あのジジイが力を貸してやったらしい。もっと魔法でジャンジャン人助けしろってな?
でかい魔物が現れて、退治してやったんだ。
ああだったこうだった…と、話は尽きない。
・・・・
「お前が一番気にしてたハウライトの奴らも今はメリダヌスと協力して復興に力を注いでいる。遺恨は残っていても共生を選んだんだ、みんな平和を目指している。…なあ、目を開けろよ。起きてまたあのメリダヌスの丘で朝日を見よう…」
ピクリともしないミレイアに手を伸ばし頭を撫でてやり頬を触ると温かさが手に伝わる。
ミレイアは生きている。
死なせやしない。
ベッドに腰掛けミレイアをじっと見つめた。
今まで心の奥底に仕舞ってた想いはもう、隠し切れないほど大きくなっている。
「ミレイア…愛している…目を覚ませ…」
初めて言葉に乗せた想い。
肘を付き、願いを込めてさくらんぼのような唇に自分の唇を押しつけた。
想いが溢れ、自分の命が全部ミレイアに注げばいいと願った。
ゆっくりと目を開きミレイアをじっと見るも、やはりピクリとも動かない。
「……」
がっくりと肩を落とし、椅子に座ったラミンはミレイアの手を両手で握り自分の額に押し当てため息をはいた。
すると、その手がピクリと動いた気がする。
ハッとして顔を上げたラミンは握るミレイアの手に力を込める。
僅かに握り返されたような感覚。
ガバッと立ち上がりミレイアの顔を覗き込んだ。
ふるふると瞼が震え、ゆっくりと、じれったくなるくらいゆっくりと、その瞳が開こうとしていた。
「小娘!早くっ目を開け!」