魔法の鍵と隻眼の姫
グスグスと鼻を鳴らしながら、リノンはずっと夢だったお願いを口にした。

「私、ずっと妹が欲しかったの…ミレイア様…私を、お姉さまと呼んでくれるかしら?」

「もちろんです。私もミレイアと呼んでください。リノンお姉さま」

「きゃあっ!嬉しい!ミレイア!」

「きゃんっ!」

またガバッと抱き着いたリノンに変な声が出てしまったミレイアは勢い余ってフラフラとしてしまう。
大喜びのリノンに皆はただ見守り微笑ましく思うばかり。
今度二人でお話しましょう!と言いながらがっしりミレイアを離さないでいると、頭上から不機嫌極まりない声が降ってきた。

「もう、それぐらいでいいだろう」

くっついていたリノンとミレイアをベリッと剥がすように離れさせたその人物。

「ミレイアは目覚めたばかりでまだ体力が戻ってないんだ。あまり騒がないでくれ」

「ラミン、未来の王妃様になんて言いぐさだよ?」

容赦なくリノン王女を見下ろし言い放つラミンにトニアスが呆れた声を出す。

「ふん、俺には関係ない。ミレイアが最優先だ。ミレイア、もう部屋に戻るぞ」

ひょいとミレイアを抱き抱え踵を反すラミンをリノンは唖然と見ていた。
連れ去られようとするミレイアは後ろを振り向きリノンに手を振った。

「ああ、リノンお姉さま!ごめんなさい!またお話しましょう!」

呆気に取られながらもリノンも手を振る。

「我が者顔だな?まだミレイアをやるとは言ってないのだが?」

去っていくラミンに国王が物申すと、一瞬ビクッと立ち止まったラミンは振り向きもせずそそくさと足を早め謁見室を出ていった。

クスクスと笑う国王や王妃達。
セイラスが肩を抱きリノンに謝る。

「ごめんリノン。ミレイアが目覚めてからラミンはミレイアに過保護でね。今日もまだ体力が戻ってないのにリノンに会わせるのはダメだと渋ってて…」

「それは、もしかして…?」

セイラスを見れば含み笑いをしていてどういう事か直ぐに察知した。

「でも、ラミンさまとミレイアは随分年の差があるように思いますけど?」

「年の差を越えた愛っていうのかな?僕達家族の愛をとうに越してるよ」

「まあ!なんて素敵!」

ミレイアとラミンが世界を救ったのは聞いている。
苦難に立ち向かい年の差を越え愛が芽生えた二人に乙女心がくすぐられた。
後で絶対ミレイアに詳しく聞こうとほくそ笑む。

瞳を輝かせるリノンにドリスター公爵が汗を拭き拭き申し訳無さそうにリノンの前に出た。

「リノン王女様、我が愚息が大変失礼を致しました…」

「いいえ、ミレイアを大切に思ってることはよーく分かりましたから気にしてません」

にこりと笑うリノンにホッと胸を撫で下ろすドリスター公爵。

「あやつは後でわしがお仕置きしとくわい」

ずっと黙っていたモリスデンはフォッフォフォッと笑う。
全員が「ラミンお気の毒…」と思ったのは言うまでもない。
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