魔法の鍵と隻眼の姫
「もう!ラミンったら!もっとリノンお姉さまとお話したかったわ!」

抱き抱えられながら、歩くラミンの頬をむにっと摘まんで抗議したミレイア。

「お前病み上がりなんだから少しは体の事考えろ。フラフラしてるだろが」

ラミンが頬を摘ままれたまましゃべるから変な声になって、ミレイアは思わずぷっと吹き出してしまった。

「お前俺の顔で遊ぶなよ?後でお仕置きだな」

「むうっ、何よ!お仕置きされるのはラミンの方でしょ!」

ここ数日国王やモリスデンにしてやられてるラミンを知っている。
可哀想に思うときもあるけどラミンも負けじと悪態つくので仕方のない人だ。
自分を抱いているから手が使えないのをいいことにミレイアはラミンの頬をむにむにといじり笑い声を上げた。

「お前後で覚えてろよ」と言いながらも目を細め笑うミレイアを見つめる。
一年もの間眠っていたとは思えないほど、あのときのまま無邪気に笑うミレイアに未だに信じられない気持ちでいるラミンは、またミレイアが何処かへ行ってしまうのではという不安が頭を過る。

心配で毎日顔を見るまでは落ち着かなくて、情けないけど仕事も手に付かないほどだ。
だからといってほんとに仕事をしなかったら国王や父ドリスター公爵に何て言われるかわかったものじゃないので今のところそつなく仕事をこなしてる、と思う。多分…。

しかし絶対わざと邪魔してるだろう国王の妨害にあってなかなかミレイアに会えなくてやきもきしていた。
それでも時間を見つけてはミレイアに会いに行き、にこりと笑うミレイアにホッと胸を撫で下ろす日々。

今日はこれからリノン王女の歓迎の晩餐会が催され出席しなければならない。
ミレイアは体調が万全ではないから留守番だ。
本当に会える時間は少ない。

ぶつぶつと文句を呟いている内に部屋に着き、ミレイアをベッドの上に下ろした。
その隣に腰を下ろしたラミンは極上の笑みを浮かべた。

「さて、どんなお仕置きがいいかな?」

「な…何よ…」

一瞬怯んだミレイアが上目遣いでラミンを見上げればその意地悪い魅惑的な笑みに頬が赤らむ。
その頬に大きな手が触れて頬より熱い熱が伝わった。

ラミンのこの温かい手が好き。
思わず目を閉じたミレイアに、「隙あり!」とさっと唇が奪われて、驚いて目を開ければしてやったりと言わんばかりのニヤリとした顔が目に写った。
ぷくっと頬を膨らましたミレイアは不満げにラミンを睨む。
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