魔法の鍵と隻眼の姫
それから、だ。

急ぎましょうとミレイアが急かしても馬の背が跳ねるとお尻が痛いとアマンダが駄々をこねのろのろと行くしかなく、馬の上でいちゃいちゃと見せつけてくる。
アマンダを優先し言うことを聞いているラミンにもイライラが募る。
また振り向くとキスをしているラミンとアマンダ。

昨日まではあの温かい胸に包まれていたのは自分だった…。

二人を見ると何とも言えないもやもやがまた胸を締め付ける。
意を決したミレイアがラミン達に近づいた。

「いい加減に先を急ぎましょう。こんなのんびりしてたらすぐに日が暮れてしまうわ。いちゃいちゃ見せつけるのもいい加減にして。気持ち悪いわ」

「なっ酷い言い様ね?何が気持ち悪いのよ?お子様には私達の愛情表現が解らないのね?」

「おい、やめろ」

敵意むき出しのアマンダとミレイアにどちらともなく注意をするラミン。
その態度にもムカムカする。

「大人なら場をわきまえてと言ってるのよ。遊びで旅をしてるんじゃないのよ。もう付き合ってられないわ。私は先を行く」

そう言うとフィーダの腹を蹴って駆け出して行ったミレイア。

「あっおい!待てっ!」

「なあにあれ?私たちに焼いてるのかしらっ…」

言い掛けたアマンダは舌を噛みそうになった。
必死に駆け出しミレイアを追うラミンにしがみ付くアマンダは不満だ。

「ちょっと!ラミン!いいじゃない先に行かせれば!私たちはのんびり行きましょうよ!」

「そういうわけにはいかないんだよ!あいつと離れるとっ…」

ラミンの頭上に黒い雲が渦巻きゴロゴロと唸りだす。

やべえ、あいつ意外に早いんだ!

そう思った瞬間にぴかっと辺りが光った。

バリバリバリッ ドドーーーン!!

「ぎゃ!!」
「うわっ!!」

< 75 / 218 >

この作品をシェア

pagetop