魔法の鍵と隻眼の姫
プスプスと頭上に煙を出し目を丸くするアマンダに「大丈夫か?」と聞くと黒い煙を吐きながら「え、ええ…」と頷く。
ラミンも頭をくらくらさせながらチッと舌打ちをし先を急いだ。
その先には立ち止まり二人を待っている様子のミレイア。
馬足を緩めミレイアに近づいたラミンはミレイアの腕を掴み凄んだ。

「おい!離れるなと言ってるだろうが!アマンダにまで被害が及んだんだぞ!謝れ!」

「先を急いだだけ、私は何もしてないわ」

きっと睨むミレイアに思わず掴んでる手に力が入りぎりっと歯が鳴る。
イっと一瞬痛そうな顔をしたミレイアは毅然ともう一度ラミンを睨んだ。

「私は、何も、していない」

強い目で訴えるミレイアに目を見開いたラミンは手に力が入っていたことに気付き手を離す。
そっと腕を摩り顔を背けるミレイア。

「……ちょっと待ってろ」

そう言うと一旦ウォルナーから降りたラミン。ミレイアの態度には不満だが、アマンダを優遇してるつもりは無いが気を使い過ぎてのんびりし過ぎたと反省した。

「アマンダ、後ろに乗れ。先を急ぐから後ろで掴まってろ」

アマンダを後ろに避けさせもう一度乗ったラミンはしっかり腰にアマンダの腕を巻かせるとミレイアをちらりと見て行くぞと一言言い駆けだした。

「ちょっと!お尻が痛いってば!ゆっくり行ってよ!」

「のんびりとしてられないんだ!油断してっと振り落されるぞ!」

さっきまで自分の言うことを優先してくれたラミンが聞いてくれない。
アマンダは後ろを振り向き無言で付いてくるミレイアを睨んだ。

あの子のせいで…。
振り落されないように必死でしがみ付きこの小娘さえいなければと忌々しく思う。

直接敵意を向けられ苦しさを感じながらミレイアはラミンの後ろを追った。



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