魔法の鍵と隻眼の姫
辺りが暗くなり始めた頃、アマンダがもう限界と泣き言を言って森の中で休みを取ることになった。
辺りは枯れ木が立ち並び獣の骨が散らばっている。
ウオオオーンと何かの遠吠えまで聞こえた。
まだ夕方頃だろうに空は厚い雲が覆い一層暗く感じる。

「ちょ、ちょっとここなの?何か怖いわよ」

馬から降り怖々と辺りを見回すアマンダはラミンにすがり付く。

「お前が休みたいと言うんだから仕方ないだろう」

動きずらそうにするラミンはウォルナーを労い首を撫でている。
もう少し行ったら村があるはずだがだいぶ油を売ってしまったので着くのは夜中になるかも知れない。
ちらりとミレイアを見るとフィーダを撫でながらため息をついている。

「休憩は10分だ。ここは水も無いし草も生えてないから馬も休めない」

「えー?10分なんて短すぎるわ!」

「文句言ってると置いてくぞ」

じろりと睨まれ唖然としたアマンダはしりもちを着くようにその場に座り込んだ。
ラミンはアマンダを無視してミレイアの所に向かう。
キーっと嫉妬剥き出しでミレイアを睨んだ。

「おい、小娘大丈夫か?」

「…何が?私よりアマンダさんを気遣ってあげたら?」

振り向かないミレイアに明らかに拒まれている。
ミレイアを蔑ろにした自分が悪いと分かってはいるがミレイアの態度はなぜか気に喰わない。
ラミンはムカムカするのを何とか押さえこちらに向かせようと肩に手を伸ばすがその手が空で止まった。

ブルルンと鼻を鳴らした馬たちは耳を伏せ怯えている。
はっと気配を察知して辺りを見回したラミンは木の影からこちらを伺う赤い目を見つけた。

グルルルルッ

3mはあろうかという巨体の狼のような魔物が今にも飛び出さんと体制を低くしている。
ここまでは50mほど。
ミレイアも何かを察知して辺りを見回した。

「ま、もの?」

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