駆け落ちする電車の中で
ーーーまもなく海岸前~海岸前駅です。
電車が駅に到着し、ドアが開くと同時に私は車両を飛び出した。
駅のすぐそばは砂浜になっていて、人影は見当たらなかった。
「明日香!待てよ!」
後ろから追いかけてくる大毅に見向きもせず、海に向かって走り続ける。
足が海水に少し浸かったころに、大毅に腕を捕まれる。
「明日香!何してんだよ!」
「止めないで!私はここで死ぬの」
「何馬鹿なこと言ってるんだよ!」
「大毅が私と一緒になる気がないことがわかって、唯一の友達だった真凛も失って、会社のお金を横領してるのだって、バレるのも時間の問題じゃない!バレたら刑務所行きよ?私の人生もう終わりよ!死んだほうがましだわ!」
「さっきも言っただろ!…確かに妻を愛してないって言ったら嘘になるかもしれないけど、一番愛してるのは明日香だ!」