駆け落ちする電車の中で


「…大毅の気持ち、よくわかったわ」


私はポケットから携帯を取り出して、耳に当てる。

「もう出てきていいよ」

私が電話の相手にそう言い放って電話を切る。
そんな私を大毅は不思議そうな顔をして見ている。


しばらくして駅の方から”彼女”が姿を現し、こちらへと歩いてくる。
大毅はその姿を見て目を見開いている。

「ま…真凛…」

そう呼ぶ大毅の声は震えていた。

「あら大毅、こんなところで偶然ね」

赤い縁のサングラスをかけ、白い膝下丈のワンピースを身に付けた真凛がそう言って笑う。

「偶然なわけねえだろ!お前ら…グルだったんだな!?じゃあ明日香が横領してるってのも、嘘…」

「察しがよろしいようで」

真凛は私の隣に立ち、私たちは微笑みあう。


そうだ。
私たちの友情はその程度で壊れるわけなんてない。
こんなクズ男に左右されるなんてありえないわ。
< 14 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop