駆け落ちする電車の中で
「…大毅の気持ち、よくわかったわ」
私はポケットから携帯を取り出して、耳に当てる。
「もう出てきていいよ」
私が電話の相手にそう言い放って電話を切る。
そんな私を大毅は不思議そうな顔をして見ている。
しばらくして駅の方から”彼女”が姿を現し、こちらへと歩いてくる。
大毅はその姿を見て目を見開いている。
「ま…真凛…」
そう呼ぶ大毅の声は震えていた。
「あら大毅、こんなところで偶然ね」
赤い縁のサングラスをかけ、白い膝下丈のワンピースを身に付けた真凛がそう言って笑う。
「偶然なわけねえだろ!お前ら…グルだったんだな!?じゃあ明日香が横領してるってのも、嘘…」
「察しがよろしいようで」
真凛は私の隣に立ち、私たちは微笑みあう。
そうだ。
私たちの友情はその程度で壊れるわけなんてない。
こんなクズ男に左右されるなんてありえないわ。