白雨の騎士

会議が終わり皆が部屋から出ている中、アルベルトがオーギストの前につかつかとやって来た。


「私の息子がこの度、王宮の執務室で働く事になりました。アリス様の執務を手伝う他、女王になるための教育係も務める予定です」

「は、はい。聞いております。アリス様にも先日伝えてあります」

アルベルトはオーギストに近寄った。

「…我が息子ならばアリス様の夫に何も不足はありません。」

オーギストの耳元で囁くように言った。

「近衛隊よりよっぽどいい。是非前向きに考えて頂きたい」


そう言い残すと、アルベルトは部屋を出て行った。


「キース様をアリス様の結婚相手に…」

オーギストはそう呟くとハァっと大きくため息をついた。


***

シドは久しぶりに稽古場へ来ていた。ここ数日バタバタしており剣の練習が出来ずにいた。

木刀を手に持つと軽く振り、素振りを始めた。

すっかり涼しい気候になった。

「シド。」

そこへアンナもやって来た。



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