白雨の騎士
「失礼します。」
シドはアンナと共に、オーギストの部屋に呼ばれていた。
「おお、呼び出してすまない。2人に話がある。掛けなさい。」
シドとアンナはソファに腰掛けた。
オーギストは読んでいた手紙を置いて眼鏡を外した。
「アリス様は次期女王になられる。その時2人にはアリス様の側近となり、女王としての務めをサポートしてもらいたいのだ。」
「…我々にですか。それはとても光栄です。」
アンナは少し驚いたように言った。
「現在は、公務などの管理は女官長のソフィアが行っている。それをソフィアの他にキース殿も加わってもらう。そして、君達2人も常にアリス様と行動を共にして一つのチームとして支えてもらいたい。」
オーギストの言葉に、シドは喉をごくりと鳴らした。
今はアリス様の公務に付き添い護衛をする事が仕事だ。
側近となれば、アリス様の執務室に入ることも出来る。
女王としての責務を果たすために常に側にいてアリス様をお支えする事になる。
かなりの責任だ。それにシドは自分が選ばれて良いのかと思うほど、重大な事だった。
しかし、近衛隊としてこれほど名誉なことはない。
シドとアンナの返事は決まっていた。
「…お引き受けいたします。」
2人の返答を聞いてオーギストは深く頷いた。
「アリス様は既に女王になられる勉強をキース殿に教えられ始められている。2人も第一部隊から脱退し正式にアリス様の側近近衛兵団として任命する事にした。」
オーギストは立ち上がり机の引き出しを開けた。
中からゆりの花の紋章を取り出した。
「これは、アリス様のお印のゆりだ。この紋章はアリス様の側近である事を意味する。君達が抜けた第一部隊にはアート隊長が既に第二部隊から2名選出している。明日よりこの紋章をつけてアリス様のお側で仕事に就いてくれ。」
2人はオーギストから紋章を受け取った。