白雨の騎士
翌日、シドは午前の任務を終えると西の塔の図書室に向かった。
重たいドアを開けると、窓際にある椅子に既にキースが腰掛けていた。
「…キース様、お待たせ致しました。」
「いや、仕事中すまない。少し歩こう」
天井まで続く本棚の間をキースはゆっくりと歩いた。
「…君はハデス家を知っているか。」
「はい。つい最近ハデス州へ行き当主のアテクシ様にお会いしました。」
シドの返答にキースは驚いたような顔をして振り返った。
「…アテクシ様の他には、誰に会った?」
「ルカ様と…後は夕飯の席にハデス家の方々がいましたが……」
「そうか…」
キースは少し黙ると天井を見上げまた。そして再びゆっくり歩き始めた。
「…アテクシ様の娘は見ていないか」
娘…?
シドはハデス家ではアテクシ様の奥さんにしか女性とは会っていなかった。