白雨の騎士
「あっ…待って、、」

アリスが足を止めた。

シドは振り返ると、アリスの靴が片方脱げていた。


「申し訳ありません…」

シドは靴を拾うと、アリスの細くて白い足へ差し出した。


「ありがとう。」

シドはチラッとアリスを見上げた。


やはり、この間話したソフィアと名乗っていた人だ…


すると、サァッと音がして外を見ると雨が激しく降り始めた。

空は明るいままだ。


「あ、また。」


アリスが空を見上げて呟いた。


「…早く行きましょう。」

シドが言うと、アリスはゆっくりと視線を向けた。


「ここまでは追っては来ない。もう、大丈夫。」

落ち着いた様子のアリスに拍子抜けした。


「…とにかく西の塔まで向かいましょう。また何処から襲ってくるか…」

「あの者達は反皇女派だ。前にも一度、舞踏会の最中に騒ぎを起こした。私は参加していない舞踏会だったが。」


「反皇女派…?そんな奴らが何故王宮の舞踏会に…」


「あの者達の中には貴族もいると聞いている」


ガタッ

すると背後から物音が聞こえ、シドはアリスの手を掴んで身を隠した。


まだ奴らの仲間が残っているのか…


シドは辺りを見渡し誰もいない事を確認すると、西の塔へ急いだ。



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