偽物の恋をきみにあげる【完】
羽田から飛行機に乗って、高知龍馬空港へ。

離陸まではうるさい程はしゃいでいた私達だが、朝早かったせいか気づいたらぐっすり眠っていて、一瞬で高知に着いた。

実は初めての飛行機だったのに、何も堪能できなくて残念だ。

軽く食事をしたあと、空港のある南国市から高知市内にバス移動して、はりまや橋付近で降りた。

「えっ、これがはりまや橋?」

唐突にあったその赤い橋が、想像していたよりも遥かに小さくてびっくりした。

「ちっちゃくてかわいい」

「ちっさ! 瑠奈のおっぱいみたい」

「えー、なんか急にディスられたんだけど」

「いや、全力で褒めてる。よくもまあ、ここまで見事に育たなかったよなあと」

「悪口じゃん!」

旅行に来たのに、私達はいつもの調子だ。

「そういや、はりまや橋ってさ、日本三大がっかり名所なんだって」

「がっかり名所?」

「見たらがっかりする名所」

「なにそれ、逆に見たくなる! 三大ってあとどことどこ?」

「札幌の時計台と……長崎のオランダ坂?」

「へえ」

大雅は意外に博識だ。

「あと俺的には瑠奈のおっぱいも……ぷぷっ」

「がっかり名所!? 失礼極まりない!」

ケラケラ笑いながら歩き出す大雅を、私は口を尖らせて追った。
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