偽物の恋をきみにあげる【完】
大雅は必ず、夜の10時頃に帰ってしまう。

10時なんて……まるで高校生みたいな門限だ。

でも、その理由を私は知らないし、今更尋ねるのも躊躇われる。

思えばあの時に訊いておけばよかったのだ。


──あれは3ヶ月前、10年振りに再会した夜から、3日後くらいだった。

今日みたいに駅で待ち合わせをして、軽く食事をした。

「ねえ、抱きたい」

耳元で甘ったるく囁かれて、シラフのままラブホテルに直行。

ただ、私は再会した夜の記憶が殆どないせいか、キスもセックスも、まるで初めてみたいにガチガチに緊張した。

今思い出すとかなり滑稽だ。

「ね、こないだと違くない?」

大雅は笑った。

「もっと激しかったのに」

「……だって今日、シラフだから……んっ」

記憶がないなんてさすがに言えないから、適当に誤魔化した。

それにしても、泥酔した私は一体どんな激しいプレイをしたのだろう。

恥ずかしくてたまらない。

「これはこれで……いいね」

甘く囁いて、大雅は私を激しく犯す。

「大雅っ……大雅っ……」

「……あは。瑠奈、すげー可愛い……」

私は今、大雅に抱かれている。

ずっと会いたかった、大好きだった大雅に。

「──っ!!」

快楽と幸福感に満たされて、私の意識はあっという間に真っ白く弾け飛んだ。
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