偽物の恋をきみにあげる【完】
セックスの後、大雅は私に軽くキスをしてから、ボクサーパンツだけ履いて煙草に火をつけた。
カチッ、ボッ、というジッポの音が、有線を流し忘れた静かな部屋に響く。
私は言葉を発するのも忘れて、その綺麗な横顔にうっとり見とれていた。
「……そういえば、今何時?」
口の端から煙を軽く漏らしながら、大雅が私に尋ねた。
「えっと……10時過ぎたとこ」
ベッドに備え付けられたデジタル時計を見ながら答えると、大雅が「まじで!?」と焦った声を上げた。
「やば、急いで帰んなきゃ。瑠奈、早く服着て」
煙草を乱暴に揉み消しながら、彼は私を促す。
「は?」
何がなんだか分からない私に、
「……言ってなかったっけ。俺、11時までに家帰んないとまずいから」
大雅は淡々と告げた。
「えっ門限? ……もしかして大雅、結婚してる?」
驚いて聞き返せば、大雅はケタケタと笑った。
「やだなー瑠奈さんたら。僕、独身ですよー」
「ふーん」
じゃあなんで慌てて帰るの? とは訊かず、私は軽く流して服を着た。
でも、この時ちゃんと尋ねておけばよかったのだ。
今更訊きづらい。
カチッ、ボッ、というジッポの音が、有線を流し忘れた静かな部屋に響く。
私は言葉を発するのも忘れて、その綺麗な横顔にうっとり見とれていた。
「……そういえば、今何時?」
口の端から煙を軽く漏らしながら、大雅が私に尋ねた。
「えっと……10時過ぎたとこ」
ベッドに備え付けられたデジタル時計を見ながら答えると、大雅が「まじで!?」と焦った声を上げた。
「やば、急いで帰んなきゃ。瑠奈、早く服着て」
煙草を乱暴に揉み消しながら、彼は私を促す。
「は?」
何がなんだか分からない私に、
「……言ってなかったっけ。俺、11時までに家帰んないとまずいから」
大雅は淡々と告げた。
「えっ門限? ……もしかして大雅、結婚してる?」
驚いて聞き返せば、大雅はケタケタと笑った。
「やだなー瑠奈さんたら。僕、独身ですよー」
「ふーん」
じゃあなんで慌てて帰るの? とは訊かず、私は軽く流して服を着た。
でも、この時ちゃんと尋ねておけばよかったのだ。
今更訊きづらい。