偽物の恋をきみにあげる【完】
私達は週に2、3回会う。

食事、ラブホ、夜10時に解散、がお決まりのコースだったが、ある日私が「うち来る?」と提案して以来、私の家で過ごすようになった。

私が夕飯を作り、2人で食べて、セックスして、やっぱり夜10時に解散。

そんなのがもう3ヶ月続いて、すっかり当たり前になっているのだ。

急に「泊まろう」だなんて、戸惑うに決まっている。


「ま、たまには泊まってもいいかなって」

残り少なくなったハイボールをくいっと飲み干して、大雅は軽く笑った。

たまにはいい……そもそも普段は何故駄目なのか。

でも私は訊けないのだ。

だって、あれこれ詮索する鬱陶しい女だと思われたくない。

「そう。じゃ、仕方ないから空けといてあげる」

叫びたいほど嬉しいくせに、わざと素っ気なく答える私は、本当に素直じゃない。

「かわいくねー」

しかめ面でそう言って、彼は立ち上がった。

「そんなことないし。むしろ可愛すぎて上司に狙われちゃってるし」

「いや、だからそれ、物好きな……いってえ!」

左脇腹にチョップを入れると、大雅はやっぱり大袈裟にリアクションした。
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