偽物の恋をきみにあげる【完】
DM自体も、大抵毎日くれるものの、決まって夜の11時の1回だけ。

確実にこの時間だから、10時には解散する大雅と被らなくて助かってはいるが、たまには朝や昼間、突発的にメールをもらいたい気もする。

いや、まずはやっぱり……。

「ねえ、コタローくん」

『なんですか?』

「そろそろ、月さんって呼び方やめない? あと敬語も!」

『え、ええっ?Σ(゚ロ゚;) 』

思い切って提案してみると、非常に驚いた反応が返ってきた。

それほどハードルが高いことを要求したつもりはないのだが。

「だって……コタローくんは私の彼氏でしょ?」

『ええ、彼氏ですよ^^』

即答で肯定してくれたので、ちょっと顔がニヤけてしまった。

「だから、いつまでも他人行儀だと寂しいな」

けれど私がそう送ると、返答まで間が空いた。

こういう時、相手の姿が見えないSNSは、無駄に不安になる。

自分の言葉で相手が何を思っているのか、全くわからないから。

ただのネット彼女なのに、寂しいなんて鬱陶しかったかな……ついそんな風に思ってしまうのだ。
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