偽物の恋をきみにあげる【完】
私は缶ビールを煽って、彼の返答を待った。

しかし、なかなか返って来ない。

困らせてしまった?

いや、それより何か急な用事でも入ったのだろうか?

そう思っていたら、

『すいません、なんて呼ぼうか考えてました』

返事が表示され、ほっとした。

「大丈夫。なんて呼んでくれるの?」

『つーちゃん、でいいですか?』

「つーちゃん! 可愛い(*^^*) 」

『他に思いつかなくて(笑) あ、キモいかな? 普通に月ちゃんの方がいいですか?』

「ううん、つーちゃんがいい」

『では、つーちゃんで。うわー、これちょっと照れますね(笑) 』

つーちゃん。

なんだか少しくすぐったい。

彼はどんな顔でどんな声で、私をそう呼ぶのだろう。

姿が全くわからないから、想像するのはとても難しい。

会ってみたいな……いつか。

『あ、敬語のことですが、急には難しいのでおいおい直します^^; 』

「うん、わかった(笑) 」

できれば普通に話して欲しいのだが、まあこれでやっと、一歩前進だ。
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