偽物の恋をきみにあげる【完】
「瑠奈、何言ってんの?」

大雅が軽く溜め息をついて言う。

「俺達、セフレじゃないでしょ?」

まるで諭すような口調に腹が立った。

「じゃあ、私達ってなに?」

「いや、だから俺達はこ」

「じゃあ大雅は私のこと好き?」

大雅の返事も待たずに、勢いよく尋ねた。

だって、私達の関係の名前なんて、本当はどうでもいい。

私が本当に知りたいのは、アンタが私を好きかどうかってことだけ。

「瑠奈……」

大雅の猫みたいな目が、大きく揺れた。

「セフレじゃないって言うなら、私のこと好きなんだよね?」

「……」

真っ直ぐにこちらを見つめたまま、彼は口を開かない。

「ねえ、答えてよ」

「…………」

「なんで答えないの?」

私が促すと、黙っていた大雅は急に立ち上がり、こちらに歩み寄った。

「瑠奈、俺」

大雅の手が、私の頬に触れる。

「……なに?」

「ほんとは俺だって……」

優しく頬を撫でながら、何故か悲しげにそう呟く。

「……大雅?」

「瑠奈」

彼が一瞬、とても愛おしげな瞳で私を見つめた気がした。

けれど、そんなのは本当にただの気のせい。

頬を撫でる手が、不意に止まる。

そして。

「ごめん。好きじゃない」

無表情で、大雅は言い放った。
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