偽物の恋をきみにあげる【完】
しかし、DMを送って1分もしない内に、私のメッセージには既読がついた。

『大丈夫ですよ 』

わっ……返事来た!

まさかこんなに早く返信が来ると思わなくて、自分でメールしたくせに驚いてしまった。

「ごめんね、まだ11時じゃないのに」

慌ててキーボードを叩く。

『いえ、今日はたまたま早く帰ったので、暇してたんですよ』

たまたま早く帰った……ああ、そうだったのか。

私は今まで、コタローくんからのメールが夜の11時である理由を、それほど深く考えたことがなかったのだ。

たまたま早く帰った、という言い方はつまり、彼の仕事はいつも帰りが遅い、ということだ。

全然知らなかった。

私はコタローくんについて、まだ全然知らない。

「そっか、よかった。あのね、コタローくん」

『なんですか?』

「コタローくんについて、質問してもいい?」

急にコタローくんのことが知りたくなって、私は思い切って尋ねた。

私達はネットで知り合った間柄なせいか、互いの素性に関する詮索は、今まで無意識に避けていたのだ。

だから、もしかしたら拒否されるかもしれないと思ったけれど、

『答えられる範囲ならいいですよ^^』

コタローくんはすぐにそう返事をくれた。
< 55 / 216 >

この作品をシェア

pagetop