偽物の恋をきみにあげる【完】
次は何を質問しようか。

「そうだ。ねえ、コタローくんのペンネームの由来ってなあに?」

『ペンネーム? あー、本名をいじくりましたね』

「へえ、私もー」

そう返しながら、ふと今朝のインテリイケメン課長、喜多野幸太郎の顔が浮かんだ。

いや、まさかね。

「ねえ、コタローくんて眼鏡かけてる?」

『メガネ? 唐突ですね。普段はかけないけど、仕事中はかけてますよ』

「そうなんだ」

『つーちゃん、もしかしてメガネ男子好き?』

「いや、そんなことは(笑) ただ聞いただけ」

仕事中はかけてるのか。

……いや、だからなんだと言うのだ。

日本の眼鏡人口を舐めてはいけない。

うちの職場なんて、半数が眼鏡だ。

だいたい、コタローくんが同じ会社でその上私と同じ部署に勤務になるなんて、そんな偶然はほぼほぼ起こり得ない。

もしあんなにイケメンだったら、勿論願ったり叶ったりだけれど。

そんな宝くじに当たるような確率を引くほど、私は強運の持ち主ではないのだ。
< 57 / 216 >

この作品をシェア

pagetop