偽物の恋をきみにあげる【完】
私はまた他の質問をすることにした。

「あ、そういえば、コタローくんって独身? ちなみに私は独身ですよ」

私達はネット恋愛、いわば偽物の恋人だ。

だから、彼に妻子があっても何もおかしくはない、というのが私の見解だ。

『変なこと聞きますねえ(笑) 僕の彼女のくせに』

「だって、不倫だったらどうしよ!って(笑) 」

『不倫て(笑) やだな~、僕、ちゃんと独身ですよ 』

「あはは、そうなn…

返そうとした私の手が、止まった。

やだなー瑠奈さんたら。僕、独身ですよー。

いつかの大雅の言葉を思い出してしまったから。

思い出した自分に腹が立った。

せっかくコタローくんと楽しく話していたのに、あんなバカのことを思い出すなんて。

隅に追いやったはずのぐちゃぐちゃな気持ちが、また顔を覗かせる。

「あはは、そうなんだ! 安心した(笑) 」

私はブンブンと頭を振って、キーボードを叩いた。

『僕はつーちゃん一筋ですからね』

「ありがと、嬉しい(≧∇≦) 」

『ねえ、つーちゃん』

「なあに?」

『大好きだよ』

けれど、たった5文字のその言葉が、どうしても欲しかったその言葉が、乱れそうになった私の心を優しく掴まえる。

「私も大好き」

大丈夫。

私には、コタローくんがいる。
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