偽物の恋をきみにあげる【完】
あっという間に週末がやって来た。

今朝は女性陣がやけに浮き足立っていて、もしやと思ったら、やっぱり喜多野課長がいた。

スラリと高い身長は、大雅と同じくらい? 180前後はありそうだ。

それにしても、なんて綺麗な顔。

喜多野課長のすぐ近くにいる、顔だけイケメンの平野主任がすっかり霞んで見える。

甘めのマスクである大雅とは違って、細面で切れ長の瞳をした、クールな顔立ち。

でも少し癖毛の髪が、その顔立ちと眼鏡でインテリな印象を、とても柔らかく見せている。

思わずうっとりと見とれていたが、無意識に大雅と比べたことに気づいて、私は溜め息をつきながら、自分のデスクに着席した。

パソコンを立ち上げて、業務準備をしていたら、

「あさってって、もうイブだねー」

「私、彼氏とみなとみらい行くんだー」

「いいなあ、私の彼なんて仕事だよ……」

「でも明日はデートでしょ?」

パーテーションの向こうから漏れるそんな会話が耳に入ってきて、さらに深い溜め息をついた。

あーあ、結局今年のクリスマスイブも1人か。

大雅と過ごすはずだったのにな。
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