あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
文化祭が終わるとすぐに中間テストだった。
せわしないが、これも受験生の運命。仕方がない。


「ねえ響、テストどうだった?」

「過去一よかったよ。勉強の成果が現れていて嬉しい」

「よかったね。あ、今日は塾だから先に帰るね。また連絡する」

「ああ、また明日な。塾がんばれよ」

俺は杏奈と違って塾に行っていない。今まで部活で忙しいからといっていなかったが、今はここまできたら独学で大学に行きたいと思っている。


(どうしようかな、家に帰っても勉強しなさそうだしこのまま教室に残るか)

そう考えカバンから参考書などを取り出す。


そこからかなり集中していたようで、参考書から顔をあげたのは

「ほんと信じらんない!!」

クラスメイトの新藤が入ってきたときだった。

俺の席は真ん中の列の最後尾だからクラスの様子がよく見える。
どうやら俺以外にも残って勉強している人がいたようだ、クラスメイトの桜庭さん。


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