あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
「聞いてよ、澪~。色つきリップ塗っただけで指導されたんだけど!ほんと意味分かんない」

「校則違反した愛が悪いんでしょ」

今年初めて同じクラスになった新藤と桜庭さん。明るく社交的で悪い人だとは思わないが、#はしょっちゅう生徒指導に引っかかっている。そんな人とクラスでもほとんど目立たない桜庭が仲いいなんて半年たった今でも信じられない。
はじめは新藤が桜庭さんにたかっているのかと思ってしまったほどだ。


「それはわかってるの。でも反省文書いたんだよ?なのにそのあとさらに一時間説教って、そんなに暇じゃないっつうの!」


やはり今日も生徒指導だったようだ。
にしても・・・

「うんうん、」

一方的な愚痴に付き合わされている○も大変だな。
ご愁傷様です、なんて思っていたら


「ねえ、一ノ瀬もそう思うでしょ!?」

突然俺に方向転換かよ!?

確かに反省文のあとにさらに説教なんて面倒くさいと新藤に同情していたが、ここで話を振られるとは。


「突然俺を巻き込まないでよ、新藤」

「でも一ノ瀬もそう思わない?」

「まあね、確かにわかるけど、」

苦笑しながら新藤に答えを返す。

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